262. 30年の夢 2008年 476×653mm E.M.グラフ 額装価格: 320,000(税別)
30年前に遡るアメリカ大陸、カリフォルニア、ロサンジェルスにストレンジャーが一歩を踏んだ。日本以外どこにも行ったことのないぼくが、アメリカに目眩 く到着したのだ。見るモノ見るモノアメリカの英語圏の凄みを感じて尻込みしたぼくは、空港を出て、立ち竦んでしまったのだから、これからどうしたら良いの か…? 何とか友人と車を借りてホテルを後にした。友人の希望もあって、ニードルスに行こうということになった。スヌーピーのお父さんの生れ故郷なのだ。 砂漠の真只中に行くのだ。ニードルスの一歩手前のアリゾナ州バーストウに何とか辿り着いた。暑くて車など一台も走っていない。100%近くの乾燥した空気 と50度近い気温は、ぼくらを容赦なくイタブリ続けた。車のエアコンは故障、温度上昇でコンプレッサーが火を噴いた。あまりの乾燥に鼻血が流れだした。レ ンタカーのサービスに電話ボックスに向った。その時ハッと目を見張る白い建物を見つけた。アルバーツと描いたリーバイスジーンズの看板を見た。何とも言え ない出会いが会った。アメリカ臭いアメリカを見たぼくは、絶対この光景描こうと取材した。そして帰国後、29才でこの建物を描いて、イラストレーション誌 に他の数点と共に売り込みに行ったのだ。その後、嬉しいことに、この最初の絵を描きなおして中学校の教科書の表紙になった。10年間再版をしたので800 万部ぐらい出版されたことになる。そして30年が経過した。この展覧会のために新たに30年後にもこの建物があるとして描いたのがこの作品だ。30年前に はなかったピックアップトラックが店の前を過ぎ去ろうとしている。懐かしいこの光景のピックアップトラックを運転しているのは今年60才を迎えたぼく本人 なのだ。