50 SLOW CHILDREN

50 SLOW CHILDREN 1987年 478×673mm リトグラフ 額装価格:  650,000(税別)SOLD OUT

マンハッタンからロングアイランドを越えて、スタンフォード、ニューへブンとコネチカット州のコース95インターステートハイウェイを3時間ほどドライブ すると、目指すコルチェスターという名の小さな町に続く田舎道に予定通りに入った。インターステートを離れて数分で、カントリーロードは狭い2車線に変 わった。夏のせいもあるが、わたしは、道路と車におおいかぶさってくるような緑に翻弄された。2時間も木々の影の下を走っていると、時々晴れ間が出現し て、パーッと明るくなる。ペイトン・プレイス物語のロケーションだ。この晴れ間の、この白い普通の家が、ペイトン・プレイス物語の入口になるのだろうか。 アメリカTV映画のロングランとロードショー公開もされた「ペイトン・プレイス物語」のヒロインの娘は、こんな家で育ったのだ。小説家としての娘のデ ビューは、この町を変えた。緑に包まれた、一見典型的なアメリカ人として平均的に幸福なこの小さな町にも、世間に見せたくない人生の愛憎劇があった。娘が 文章にしたこの町の人生劇は、中産階級の典型的パターンとも言える愛憎劇だった。アメリカ中に蔓延していて、よくあることであっても、小説にしてしまうと リアルさが増す。映画「ペイトン・プレイス物語」として有名になってしまった、アメリカの普通さがこの町をさらに有名にした。この町の入口のこの白い家を 一見しただけでは、このことは解らないだろうか。