79 ROSE RED ROADSTER 1989年 673×478mm リトグラフ 額装価格: 1,000,000(税別) SOLD OUT
ゆっくりとゆっくりと時が過ぎて、ゆったりとした夢の様な居心地がここにあるんだよと、アメリカが私に囁いた。いつもの、私の大好物が目前にある。退屈を 至上の楽園としたテーマ・パークがここにあるといっても過言ではない。40年以上も体中に付着していた人生の垢をようやくここで落とすことが出来そうだ。 そう言えば私にとっての40数年で退屈なんて、今までにほとんどなかった様に思う。多くの人々が退屈を恨んでいる時に私は多くの絵のエスキースを作ってい たからだ。絵が描けなくなってやってくる退屈を避けるために旅に出掛けて、エスキースを絶やすことがなかったからで、いつもどこかで歩いていた様に思う。 机に座るときは、作品を描きつづけていたので退屈はなかった。何もしないことが退屈であるとすれば、それは普通となるので美しさがそこには存在してない。 とすれば、美しい退屈があったとすれば、それは両極に位置するもので、紙一重で、天国と地獄があることになる。私がアメリカやヨーロッパに旅をして、描き 続けているのは、実は、この美しい退屈なのだ。