98 ALLEYS AT HAMILTON BEACH

98 ALLEYS AT HAMILTON BEACH 1991年 342×480mm リトグラフ 額装価格: 400,000(税別)

1950年代のアメリカで大いに猛威を振るった、インダストリー・デザインにストリーム・ラインという様式がある。直訳すると”流線形”ということになる が、アメリカの50’Sのそれは、ちょっと違うどころか、大きく異なっていた。アメリカの青春時代の、奢り高ぶる物質経済と資本家の考えるアメリカン・ド リームを、そのまま表現した様なこの不思議な魅力を放つ流線形は、魅了する無駄とでも言おうか、とてつもなく派手やかで、賛沢さに溢れていて、面白い。こ の車もその魅了してやまない無駄の代表的なヤツだ。大排気量(6,000cc以上)の低速トルク型エンジンは、2.5トンもありそうな無駄をたやすく振り 回してしまう程、パワフルな走りを見せてくれた。ガソリンも日本車の10数倍を使って、同じ距離を走ることになっていた。そんな無駄が魅了してやまない車 に、昔乗っていたことがあると、この絵を見た50年配の男性が泣いているのを展示会の会場で見たことがる。アメリカで働いていた時代を思い出したのだそう だ。きっと、楽しいことばかりではなかったアメリカで、いつもこの車に乗っていたのかもしれない。アメリカの無駄が、情緒をその男性に残してくれたのだ。 このALLEYS AT HAMILTON BEACHは、展示会に来場して、想い出の涙を流してくれた男性の手元に、数日後に届いたそうだ。