163 能(羽衣) 1996年 673×449mm リトグラフ 額装価格: 550,000(税別)SOLD OUT
初めて日本を意識して絵を描いた。鎌倉能舞台からの依頼で、25周年記念の能の講演を3日間に渡って行うというもので、なぜ私なのかと聞いてみたところ、 版画にするタッチそのものが、日本の浮世絵を想像出来たからだそうだ。新しい分野なので是非描いてみたいと答えた。能樂師の中森晶三先生の息子さんの中森 貫太さんに能装束(羽衣)を着て実際に舞ってもらって写真に撮った。かなり緊張した下描きが続いたが、能装束には実際に金箔と銀箔を貼ることにした。もち ろん石版で刷ることにした。微妙な色彩を表現したいので、重ねて出す色を重視するにはリトグラフが最適なのだ。色彩の難しさを改めて知ることになった。空 と能装束との組み合わせが旨くいかなかった。何度も色を貼り変えて色の調整をしなければならなかった。能装束の後になる光芒の色は特に手を焼いた。2~3 日間、線(スミ)がダメージを受ける程に何度も刃先を加えたから、線が消失してしまうのではないかと不安を覚えるほどだった。かくしてエイジン仕様のジャ ポネスク能は完成を見たのだった。