23. IKEDA’S

23. IKEDA'S 1985年 294×418mm リトグラフ 額装価格:  380,000(税別) SOLD OUT

日系一世が大勢暮らしているという、マウイ島のある町を訪れた。夏の最中だったが、マウイは一年中夏なのだし、ウエットな空気を撒き散らす大海もことさら に夏だと感じない。小さな町の更に小さなダウン・タウンは東西に300メートル程の古いショッピング・アーケードも持っている。アーケードの道に並行に車 を駐めるのではなく、斜めに駐車するむかしの習慣をそのままにやっている街だった。アーケードに添って両側の店はみんな日本名である。タナカ、タカハシ、 スズキと良く聞くポピュラーな名前が軒を並べている。グローサリーストア、ドレスショップ、コーヒーショップ、フィッシュマーケット、バンクと何でもあ る。ハワイ移民一世の残した日本人街であった。妙に懐かしく、稲の香りがしてきそうな街並にしばし我を忘れてしまった程だ。少し世の中から忘れ去られてい るようでも、マウイの日本人街の、この和洋折衷の独特な雰囲気は、ぼくを魅了した。イケダズ、何とも心地良い響きではないか。店の軒先につけられた、この 看板を見て、店の主人の顔を思い浮かべて、もともとは、サトウキビ畑を耕した人なのだと思い、急に片岡義男さんの小説、「ビッグ・アイランド」の主人公を 思い出した。