24. OPEN 1985年 295×416mm リトグラフ 額装価格: 380,000(税別) SOLD OUT
部屋は暗く、人気のない空気が漂っている。たった今、出張先から帰ったぼくを迎え入れた我家の様子だ。突然「ルルッルルッルルッ」と電話のベルが鳴った。 薄暗いかなたに青白い光を発する光源がある。ぼくはその光源に手を置いてバナナの変種のようなものを手にして、すぐ様耳にあてて話をし始めた。「モシモ シ、鈴木ですが。」なんと、ネオン管の入った電話器なのだ。妙な書き出しをしてしまったが、実は、このネオンの奇妙さを言いたかったからだ。アメリカ人は ネオン好きだ。何にでもネオンを使って遊ぶ。例えばこうだ。サボテン、電話器、オーディオ機器、ペンダント、帽子、バッグ、芸術としてのオブジェ。看板や 室内装飾など日常茶飯的に存在するし、一般家庭にも、どこかに入り込んでいて遊ばせてくれる。光るモノはもとより、線や面をそのままネオン管に置き換えら れるので面白いのだろう。強烈な個性を主張するネオンはとても扱い安いのかもしれない。ネオン・ネオン・ネオンとアメリカ中に蔓延していく様はまるで生き 物のようである。