65 JUNGLE OF HEAVEN

65 JUNGLE OF HEAVEN 1988年 569×800mm リトグラフ 額装価格:  650,000(税別)SOLD OUT

フロリダ州、マイアミビーチ・シティ。北アメリカ大陸のイースト・コーストの最南端に位置する常夏の半島にある。大西洋とカリブ海を半々にして海岸を持っ ている。マイアミは古くからのアーバン・リゾートとしてアメリカはもとより、世界中にその名を知られている。ここでは、アメリカでのサクセスストーリーの 結末を思わせる街がいくつも存在する。自分の別荘の前まで運河を掘って、60フィートもありそうな、イタリア製のハンドメイドの高級なヨットやパワーボー ドが庭から乗れるのだ。ほとんどの家が、こんな様子だと言ったら我々日本人なら、本当にビックリしてしまう。ぼくが再び訪れた常夏のマイアミは、このサク セス地帯ではなく、1940年代のアメリカ繁栄の化石の島、マイアミビーチ・シティだ。その小さな島の東西に3キロ程の海岸通り、オーシャン・ドライブ は、1940年代のトロピカル・デコのホテルがそのままに残されている。ピンクやエメラルドとデコ模様の花が咲いて独特の世界をかもし出している。前々か ら、このオーシャン・ドライブに建ち並ぶ、トロピカル・デコのホテルと、そこを舞台にした物語をビジュアル表現してみたかった。常夏のウェットな熱帯気候 に身を委ねる人々と、この町にすぐ隣合わせのジャングルに生息するワニなどの爬虫類も、ぼくを魅きつけて離さない。このオーシャン・ドライブのホテルに泊 まろうと、いくつかを物色して回った。数軒目に比較的安価で、典型的なトロピカル・デコのホテルを見つけて投宿した。そのホテルの正面入口のテラスのよう なロビーが、いかにもジャングルのようだった。潮風からヌードを守るために、ルーズ・フィットなコットン地のカバーがしてあるすわり心地の良さそうなソ ファが置いてあった。ぼくが座るのをヤメたのは、カバーの後でワニが昼寝をしているのが見えたからだ。