133 過ぎゆく日々 1993年 600×483mm シルクスクリーン 額装価格: 450,000(税別)SOLD OUT
ある年に夏が終わろうとしている頃に、私はアメリカに居た。夏の終わる頃は世界中が美しさに溢れる頃でもある。それは春のようなキラキラとした美しさとは 違うのだが……、静かな輝きとでも表現しようか……、ゆっくりと椅子に腰をかけて、春から夏に過ごして来た日々を振り返る時間を与えてくれる空間があるか らだ。緑萌ゆる春に芽生えた美しい恋も夏に激しく燃えて、生きる素晴らしさを燃焼する時間の中に身を置いていた我が身を、その目眩く流れの終わった夏の終 わりの頃、なぜか自分の肉体と心が透明になって行く様な気がして、少し寂しいが、燃焼を終えたことの安堵感が我が身を支配していて心地好いのだ。夏の終わ りとしては美し過ぎるこの風景の中に身を置いて、私は幸福だ。