285. ゆるやかな流れのなかに 2011年 490×694mm E.M.グラフ 額装価格: 330,000(税別)
ぼくには、こんな眺めがふさわしいと思うようになった。不思議なことに突然目の前に現われたのが、ひと月ほど前の夢の中だった。立ち尽くしたぼくの前に緩やかな流れの川が田園の緑色を侵食していた。陽の暖かさを背中に感じて、その木漏れ日がぼくの部屋の壁にきらきらと輝く光となっていた。明らかに夢の中とわかったのは、影に変身して遊泳する鳥の存在だった。夢の中で夢を見ている様だと思った。翌日からイメージのスケッチを始め、膨大なフィルムの中から眺めを組み立てていった。眺めの正体はゆるやかに流れる大気だった、それは形があり肉眼でみることができたのだ。あり得ないような美しい眺めは、透明な大気が形作る一枚の作品となるのだ。