110 バハマ島での午後の休息 1992年 680×955mm シルクスクリーン 額装価格: 680,000(税別) SOLD OUT Special Edition 780,000(税別) SOLD OUT
いったい誰がこんな大きな車を、こんな小さな島で乗るんだろうと思って、この60年代のキャディラックを、ぼんやりと眺めていた。バハマはやはり暑い。し かも湿度も高いので、汗はグショグショでなかなかひかない。午前中の取材でカメラのストラップが肩に食い込んで汗とシャツで擦れた皮膚が痛い。正午近くに 早めの昼食を軽く食べて、多量の水分を体中に補給した。店を出るといつの間にか店の前に大きなハデなアメ車が駐車していた。きっと店の客の車だろうと思っ て気にもしなかったが、何となく、その場を離れることをせずに近くに置いてあったピックアップの荷台に腰をかけてぼんやりと眺め始めた。レストランの冷房 とビールが体の汗を正常にしてくれたので外気にあたると午前中とは違って汐風のせいもあってか意外と涼しく感じられた。30分程経ってから店から1人の女 性が出て来た。何とNAVYの制服を着ている。胸に沢山の階級章がついている。たぶん将校なのだなと思って見ていると、その女性は私の方をチラッと見て、 大きな赤い車で走り去って行った。バハマ島での一瞬の甘酸っぱい午後の休息だった。